
仕事の後、銀座のスネスイッチに、樹木希林さん主演映画「あん」を観てきました。
樹木希林さんは実際にガンを患っているとは思えないほど、凛とスクリーンの中に存在し、出演者皆様の自然体な演技、さりげなく真意をつく言葉、言葉なき「間」に存在する想い、そして笑いを誘うシーンが絶妙に美しく絡み合っていました。
詳しくは、Hansiniさんの投稿をご覧ください。
希林さん演じる元ハンセン病患者の徳江さんが、社会の中で虐げられて生きてこられたにもかかわらず、他者や境遇を憎むわけでも、ふてくされるわけでもなく、他者を思いやり、心豊かに自然を愛で、丁寧に生きる姿はとても美しく、また気高いと感じました。
映画の中で、76歳の徳江さんは「私も子供を授かったことがあったけれど、生むことを許されなかった。」と仰っていたのがとてもショックでした。
これはきっとフィクションではなく、実際に元ハンセン病患者の方のお話であったのではないかと思います。
「あん」の原作者は、ドリアン助川さんです。
ドリアン助川さんと聞いて、ある連鎖反応がありました。
話は逸れますが、中学校の国語教師であった恩師から、詩の世界を教えていただき、その際にドリアン助川さんが「叫ぶ詩人の会」というバンドで活躍されていたことも教えていただきました。
中学3年の夏。その恩師は私の運動部引退後に「詩を書くクラブ」に誘ってくださり、有志メンバーを夏休みに車で作家/詩人/画家の武者小路実篤氏の記念館に連れて行ってくれました。
当時は作品の意味も、実篤氏の思想も理解できず、ちょっと退屈とさえ思っていましたが、大学時代に実篤氏の「人生論・愛について」という本に出逢い、感銘を受け、14年を経てその記念館に足を踏み入れた時、その恩師が伝えてくれていたことがやっとわかりました。
「生き抜く力」
記念館を訪れた数ヶ月後、恩師はすい臓ガンで亡くなられました。
私が中学を卒業してから直接恩師とお話することは出来ませんでしたが、私はその恩師がご自身の生き様をもって、まだ何もわからない10代の私たちに「生きること」を知るきっかけを与えてくださり、大人になってから理解できるよう、道を敷いてくださっていたような気がしてなりません。
また、この恩師のこと、そして実篤氏の言葉を思い出したきっかけには、たまたま今夜映画館で会い、隣で一緒に立ち見をしてくれることになったヨーガ仲間とお話する機会を持てたからだと思います。
色々なことが連鎖反応し、リンクしました。
映画『あん』の中、また中学時代の恩師との思い出の中から、そばに居る方の佇まいや生き様から、見えないところで相手を思いやる気持ち、感謝の気持ちを持つことを改めて学ばせていただきました。
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「私達はこの世を見るために、聞くために、生まれてきた。
この世は、ただそれだけを望んでいた。
・・・だとすれば、何かになれなくても、
私達には生きる意味があるのよ。」
『あん』より
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「人間は何の目的で生まれたのか。」
武者小路実篤『人生論・愛について』より
冒頭に書かれています。
あれ?このフレーズ、どこかで聞いたことが・・・
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Miki

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